\この記事を読むと/
PT・OT学生の最大難関である「実習」の対策法と事前に準備することが分かり、充実して楽しい実習を送ることができます!
実習の期間はとっても緊張するし、気を遣うから心身共にめちゃくちゃ疲れたよ(涙)
実習が近くなると、
- 何を準備していけばいいのか
- バイザーは何をしたら評価してくれるのか
- 実習を攻略する方法はないか
など、始める前から不安でいっぱいでした。
しっかりとした「事前準備」と「CEの評価ポイント」が分かれば、充実したも実習が送れます!
学生時代に感じたことを含みながら、
現役OTで実習生指導を担当し、外部講師も行っている僕がCE(臨床教育者)視点で実習について分かりやすく解説します!
※今回は総合実習を想定して解説していますが、その他の実習にも共通する項目になります。
- 実習が不安で夜も眠れない
- CE(臨床教育者)が何を評価しているか知りたい
- 実習をなんとか乗り切りたい
参考書を見ても、実際のCEに話を聞いても、特に重要しているのは「基本的態度」が多いです。
- 作業療法士(6年目)
- 養成校での講師経験があり、分かりやすい授業が好評
- 学会発表や論文投稿も行っている
理学療法・作業療法の参考書と自身の経験をもとに記載しています。「理学療法は~」などの言葉があっても作業療法にも共通する内容なので、自身の療法に置き換えて読んでください。
実習は誰でもつらいもの
正直、実習は誰にとってもつらいものです。
もちろん楽しいところもありますが、慣れない場所で常に評価されていると思うと常に気を張ってしまい、つらかった記憶があります。
実習は学校では学べないことが学べる貴重な機会でもあるので、まずは僕らの経験談と乗り切った方法をお伝えしたいと思います。
※僕らが実習に行っていた時は、「CE(臨床教育者)」ではなく「バイザー」でしたので、この項目はあえて「バイザー」と表記しています。
サギョウ先生の実習談
僕は実習自体はとても楽しかったけど、レポートなどの提出書類の作成がつらかったな。
- 基本的態度が分からずバイザーに迷惑をかけた
- 知識、語彙力がなくレポート作成に時間がかかった
- 常に評価されている感じがして気が休まらなかった
- 患者さんを対象にした評価ができなかった
僕らが実習生のころは「ケースレポート」「デイリーノート」「ケースノート」の3つが毎日の課題であり、実習の終盤になると「レジュメ」を作成して先生方の前で発表しました。
各種レポートについて
現在は「デイリーノート」のみを課題とする養成校が多いです。
現在の実習はCCS(クリニカル・クラックシップ)で行っているため、「ケース(対象者・事例)を持つ」といこと自体がありませんね。
担当するケースの基本情報や評価結果、アプローチ内容などをまとめるレポートのこと。
その日に体験したことなどを時系列でまとめ、感じたことや学んだことを記載するレポートのこと。
ケースに対して行った介入やその時の反応、バイザーがケースに行なっている介入などを記載するレポートのこと。
※実習先によっては、「ケースノート」と「ケースレポート」を一緒にしているところもありました。
今となっては、1人の患者さんを深く考える貴重な経験でしたが、当時は深夜3~4時まで課題をやり、7時には出勤するという過酷な実習生活を送った記憶があります。
- 患者さんと関わることが楽しかった
- 実際のOTの働き方がかっこよかった
- 機能練習だけでなく、趣味活動もできた
- 患者さんが回復していく経過を追うことができた
実習の一番の目的でもある、患者さんとの関わりがとても楽しかったです。
なかには実習最終日に泣いてくれた患者さんもいて、とてもいい経験をしました。
教科書では学べない、臨床ならではのテクニックや患者さんの反応を見れるのがとても楽しかったです。
- とにかく笑顔とあいさつを忘れない
- 質問は積極的に行う
- バイザーの動きを見て次の行動を予想する
- 提出物は期限内に必ず提出する
- 分からないことは自己学習する
上記の5つを行ったことで、幸い怒られることもなく楽しく実習を乗り越えることができました。
特に大切だと思うことは、「笑顔」と「あいさつ」、「期限内に提出物を出す」ことだと考えています。
続いてのリガク先生は、少し変わった視点で苦労したようです。
リガク先生の実習談
私の場合は、勉強しすぎたが故にバイザーとぶつかることがあって苦労しました。
- 朝の交通状況などの把握を怠り、毎朝バタバタしていた
- メモの取り方が分からず、どこに何のメモをしたのかが分からなくなった
- バイザーの質問に対して詳細に解答すると、マウントを取るような質問を追加された
- バイザーからの質問に返答ができず黙ってしまった
朝の交通状況は出勤時間に大きく影響を与えるので、事前に確認することを強くオススメします。
社会人になると、「雪だから」「事故があったから」といった、仕方ないような理由でも遅刻することは許されません。
余裕を持った出勤を心がけましょう。
- 学校で勉強した疾患を、実際に見ることができた
- 実習生だからと患者さんに可愛がってもらった
- さまざまな先輩PTの介入を見学して刺激になった
- 貴重な手術見学ができた
学校で学んだ知識と実際に起こっていることがマッチしたときの嬉しさは今でも忘れません。
- 朝の交通状況(天候なども考慮)を確認する
- メモを取るときはあらかじめフォーマットを用意する
- バイザーの様子を確認しながら質問に回答する
- 質問には「沈黙」ではなく、自主学習をする誠意を見せる
リガク先生の場合は、優秀がゆえの悩みが見られました。
同じ悩みを持っている人は、ぜひリガク先生の対策を参考にしてくださいね。
実際に実習生に感想を聞いてみた
現役実習生が実際に感じたことをまとめました。
※僕が直接聞いたので、あくまでも参考までに。
\見学実習/
初めての実習でついていくのに精一杯でした。
- 学校で習ったOT像との違いがあった
- 考えをレポートに書くことが難しかった
- 見学時の立ち位置が分からなかった
- OTの役割が分かった
- 初めて患者さんと関わることができて学べることが多くあった
- 実践しながら教えてもらえるので分かりやすかった
\評価実習/
初めての長期実習で学ぶことが多くありました。
- 基本的態度の知識不足
- 質問の仕方が分からなかった
- 書類の作り方が分からなかった
- OTの具体的イメージがついた
- 評価からアプローチへつなげる方法が分かった
- 実践する楽しさが分かった
\臨床実習/
コミュニケーションの大切さを知りました。
- 考えていることを文章にするのが難しかった
- 自分の考えをまとめることが難しかった
- 積極的に動くことが難しかった
- コミュニケーション方法が学べた
- 介助方法を体験することができた
- 様々な患者さんに関わることができた
様々な悩みや大変なことがありますが、同時に「得られるものが多かった」と満足する学生も多くいます。
実習対策を身に着けて、有意義な実習を送りましょう。
【事前準備①】実習1カ月前にやっておくべきこと5選
実習が始まってからは、「慣れないことをする疲労感」や「考えることが多い」ので、実習が始まる前にどれだけ対策できるかがカギになります。
以下の5つは、いずれも準備に時間がかかるので1カ月前には取り組んでおきたい項目です。
実習先について調べる
実習先が「どんな病期」で「どんな領域」を主としているかを知っておくことで、事前に学んでおくべき範囲を絞ることができます。
例えば、
「維持期」で「脳神経外科領域」の実習先の場合は、慢性期の片麻痺患者さんについて事前に勉強する必要がありますね。
他にも病院と施設によっても重要視しているポイントが違います。
上記はあくまでも一例ですが、このように自分の実習先を理解することで、事前に準備する内容が見えてきます。
- ホームページを調べる
- 同じ実習先に行った先輩に話を聞く
- 実習地担当の教員に話を聞く
- 実習地に電話をする
もっとも簡単な「ホームページを調べる」だけでも良いのですが、生の声を聴けることに越したことはないので、可能であれば先輩の話を聞きましょう。
上記の方法に加えた「一度下見に行く」こともオススメします。
「百聞は一見に如かず」ですので、一度見学に行くのも良いでしょう。
見学まで出来なくても病院まで一度は足を運ぶことで、通勤時の混み具合が分かるのでオススメです。
実習で学びたいことを明確にする
CE(臨床教育者)に聞かれるであろう質問に「何か見たいこと(知りたいこと)はありますか?」が挙げられます。
CEからすると「興味があるものを見せてあげたい」という気持ちで言っていますが、学生からすれば「恐怖の質問」だと思います。
しかし、自分がこの実習で学びたいことを伝えることができれば、CEから好感が得られるはずです。
学習意欲を高めるためにも「今回の実習で何を見たい(知りたい)か」を明確にしておくことが効果的です。
学習意欲モデルという考え方によると,学習意欲を引き出す第1段階は「注意を引く」ことであり,注意を引かれることで「おもしろそう」という肯定的な感情が出てきます.
小林幸治「PT・OT学生のためのクリニカル・クラークシップ」/シービーアール
見たいことや学びたいことは具体的にすると良いです。思いつかない場合は以下を参考にしてみてください。
- 実習先の領域を調べ、現在の主要なアプローチについて学ぶ
- 各疾患のリスク管理を学ぶ
- 実際の患者さんの介助方法を体験する
- 実際の患者さんの病棟での生活場面を見学する
上記の事をCEに伝えることができれば、実習がスムーズに進行する可能性が高いです。
もちろんですが、言うだけでなく自分から進んで行動を起こす(自己学習で事前に調べるなど)ことも重要です。
自分のタイプを理解する
人(スタッフや患者さん)と関わる前に、自分がどんなタイプなのかを理解することで、相手との関わり方を工夫できます。
以下に「ビッグ・ファイブ理論」の性格のタイプを記載しています。
どれか1つと言うわけではなく、どのタイプが多く当てはまるかを考えてください。
外交性 | 本質は「活動」にある。「積極的で話し好き」「高い社交性を持っている」などが当てはまる。 |
神経症傾向 | 本質は「情動」にある。「不安で抑うつ的」反対の「楽天的で穏やか」などが当てはまる。 |
開放性(遊戯性) | 本質は「遊び」にある。「好奇心旺盛」「新しいアイデアが浮かぶ」などが当てはまる。 |
調和性 | 本質は「関係」にある。「他人に親切にできる」「相手を信頼できる」などが当てはまる。 |
誠実性 | 本質は「意思」にある。「まじめで根気がある」「物事に対して慎重」などが当てはまる。 |
上記はあくまでも傾向が分かれば大丈夫です。
イメージしにくい時は以下の図(サギョウ先生の場合)のように、各項目5点満点で回答して5角形のパラメーターにしてください。
好奇心は旺盛だけど、しっかりと冷静に考えることができるようにならないと!
サギョウ先生の場合は、「社交性」や「開放性」は高いけど、「誠実性」や「神経症傾向」が低いですね。
このようにすることで、自分の長所と短所が分かりますね。
短所があることが悪いのではなく、自分の性格を理解していないことが問題なのです。
100%理解するというのは難しいので、傾向だけでも理解してみましょう。
短所もTPO(time, place, occasin)によっては長所に変わることは多々あります(逆もしかりですが)。
自分の性格を理解して、相手やTPOに合わせた自分の良さをどんどん出していってください。
PCの操作に慣れる
最近はスマートフォンと「Word」などの文章作成ソフトの互換性が良くなっており、スマホで書類を作成している学生も少なくないはずです。
「実習のためにPCを買いました」と言う学生も何人かいたよ。
僕個人の意見としては「テクノロジーはふんだんに使うべき」と思っているので、スマホでレポートを作成し、PDFなどでCE(臨床教育者)に提出してタブレットを一緒に見ながら修正する方が良いと考えています。
しかし、病院や施設では紙カルテから電子カルテにようやく移行し、僕たちの記録はほぼPCで行います。
病院や施設の電子カルテに慣れるという意味でもPC操作に慣れる必要があり、臨床に出てからも必要になるスキルです。
高度なスキルは要らないですが、最低限「Word」「Excel」「PowerPoint」(または類似するソフト)に慣れておくことを強くオススメします。
自宅学習の習慣をつける
実習時間は
「1単位(1週間相当)=45時間」→「(8時間の実習+1時間の自習)×5日」
になります。
1週間で45時間の実習時間にするには、1時間/日の自宅学習が必要です。
養成校によっては課題の選定をCE(臨床教育者)に依頼しているところもありますが、自分で自宅学習を見つけないといけない実習地もあります。
- CEからのフィードバック内容を自分の言葉でまとめる
- その日に関わった対象者や作業療法場面を理解するうえで必要な知識を調べる
- 模擬カルテを記載する
- 検査・訓練・指導,集団作業療法などを学生が実施するための準備をする
引用:小林幸治「PT・OT学生のための クリニカル・クラークシップ臨床実習ガイド」/シービーアール
自宅学習でやることを見つけることも大切ですが、実習前に習慣化しておくことで、実習が始まってからでもあまり苦しくなりません。
実習前に自宅学習を習慣化して、大変な実習を少しでも楽にしましょう。
▷具体的な習慣化方法や勉強方法をまとめている記事はこちらです↓
【国家試験・テスト直前のリハビリ学生必見】講師経験現役セラピストがオススメする勉強法
【事前準備②】実習直前に再度確認しておくべきこと4選
いよいよ実習が近づいてきました。
開始直前に改めて確認したい以下の項目を解説していきます。
なぜ実習が必要なのかを理解する
なぜ実習について理解する必要があるのかと言うと、
これから戦う相手のことを知らないと攻略することはとっても難しいからです。
反対に何をすればいいかが分かれば、CE(臨床教育者)が見ているポイントも分かります。
※下記は作業療法の臨床実習について記載していますが、理学療法でも同様です。
そもそも実習とは
臨床実習は,学生が学内で学んだ知識,技術,態度の統合を図り,作業療法実践能力の基本を身につけるために不可欠な学習過程であり,また,実習は作業療法に必要なコミュニケーションを基盤とした人間関係能力を育成する重要な機会である。
一般社団法人 日本作業療法士協会「作業療法臨床指針(2018)」
かみ砕いて言うと、
【「学校で身に着けた知識」と「臨床で起こる様々な事象」を比較して理解を深める】
+
【人間関係の能力を身に着ける】
実習の到達目標は
臨床実習指導者の指導・監督のもとで、典型的な障害特性を呈する対象者に対して、作業療法士としての、①倫理観や基本的態度を身につける、②許容される臨床技能を実践できる、③臨床実習指導者の作業療法の臨床思考過程を説明し、作業療法の計画立案ができることである。
一般社団法人 日本作業療法士協会「作業療法臨床指針(2018)」
補足
かみ砕いて言うと、
- 基本的態度を身に着け、自発的に行動する
- 許容範囲の臨床技能を実施し身に着ける
- CEが行っている作業療法を理解し説明する
上記をもとに求められるスキルをまとめると、
- コミュニケーション能力
- 基本的態度
- 積極性
- 基礎知識と臨床現象を比較する力
- 臨床技能
上記はなかなかハードルが高いと思いますが、あくまでも目標ですので実習中に少しでも身に着けていきましょう。
しいて言うのであれば、「臨床技能」以外は実習前から備えることはできますので友人や先生、先輩に頼ってみてください。
「自分のタイプを理解する」で、自分の苦手な項目が明確な場合には事前に対策をしておくことをオススメします。
もし不安な場合は、僕(サギョウ先生)かリガク先生のTwitterにDMして頂ければ可能な限り力になります!
リ学舎の公式Twitterでは、学生や若手セラピストが抱えている不安を解決するようなツイートをしていますので、良かったらフォローしてくださいね!
\サギョウ先生のアカウント/
\リガク先生のアカウント/
フォローしてね!
基本的態度を理解する
臨床実習指導者に「学生に求めること」を聞くと、
知識や技能以前に、「患者さんや職員にきちんとあいさつができる」,「お願いします. ありがとうございます. など声かけができる」,「時間を守る」, 「健康管理ができる」などの基本的な態度に関する内容が多く挙げられている
小林幸治「PT・OT学生のためのクリニカル・クラークシップ」/シービーアール
僕がCE(臨床教育者)をさせてもらう時に一番見ているポイントだよ!
具体的にどの様なことをすれば良いのかを以下にまとめました。
基本的態度の詳細
- 状況に応じた適切な身なり
- 状況に応じた適切な挨拶・自己紹介
- 自身の適切な生活管理
- 自己評価、自身の行動目標設定および修正
- 自身の目標達成するための具体的な取り組み
- 守秘義務、個人情報の取り扱いについての配慮
- 記録物の管理(保管・廃棄)
- 掃除、整理整頓
- 人権や障害に関する倫理に配慮した言葉づかい、態度
- 患者・患者家族に対する礼節のある言葉づかい、態度
- 職員に対する礼節のある言葉づかい、態度
- 時間・期限の厳守
- 指導者からの指示の遵守
- 指導者への報告・連絡・相談
- 清潔な白衣を着用する
- 靴の踵を踏まない
- 清潔感のある頭髪にする
- 化粧はナチュラルな範囲ですませる
- 危険なものを身に着けない
- 無精ひげは剃る
- 手洗い消毒を励行する
- ボールペンと手帳は携帯する
- 通勤時の服装は学生らしく
引用:鶴見隆正(編)「標準理学療法学 専門分野 理学療法 臨床実習とケーススタディー 第3版」/医学書院
特に「身なり」や「言葉づかい」などの、「患者さんに失礼ではないか」というところを厳しく見ているCEが多いです。
次いで「提出物が期限内に出せるか」「挨拶ができるか」などの社会人としての行動ができているかを見ています。
曖昧な場合は、CEに確認するのが近道です。
担当のCEが何を一番重点的に評価しているかを知れば、対応しやすいですね!
よくわからない時には以下を思い出してください。
学生は,自分の学びのために対象者や指導者が大切な作業療法の場面をつくっていることを忘れないようにしよう.
濱口豊太(編)「標準作業療法学 専門分野 作業療法 臨床実習とケーススタディー 第3版」/医学書院
上記を念頭に入れて行動すれば、自然とCEや患者さんがあなたを良く評価してくれるはずです!
ガイドラインを一読する
理学療法士・作業療法士ガイドラインや各疾患ガイドラインなど、さまざまなガイドラインが存在します。
「評価項目」や「アプローチ内容」、「リスク管理」などに迷った場合には、まずはガイドラインを確認してみましょう。
ガイドラインとは
そもそもの言葉の意味としては以下になります。
政策・施策などの指針。指標。
goo辞典
医療業界の場合は、以下の意味合いで使うことが主です。
健康に関する重要な課題について、医療利用者と提供者の意思決定を支援するために、システマティックレビューによりエビデンス総体を評価し、益と害のバランスを勘案して、最適と考えられる推奨を提示する文書。
厚生労働省委託事業 公益財団法人日本医療機能評価機構 Mindsガイドラインライブラリ
かみ砕いて言うと、
エビデンスがある治療などをまとめてあるので「迷ったらこれを見ろ!」と言う代物です。
僕は今でもガイドラインを参考にして評価やアプローチ内容を考えてるよ!
ガイドラインを読まいのはとてももったいないことですよ。
下記のサイトはさまざまなガイドラインがをまとめてあるので、ぜひ参考にしてください。
※上記はどちらもWEB上で閲覧可能です。
各療法と実習する領域のガイドラインに一度目を通しておくことで、「何を勉強しておくべきか」「何をすればいいのか」がある程度見えてきます。
僕が担当しているような脳神経外科で実習をする場合には、「理学療法ガイドライン」「作業療法ガイドライン(脳卒中)」「脳卒中治療ガイドライン」を一読すると良いよ!
すべてのガイドラインがWEBで見れるわけではないので、その場合には学校の図書館などで探してみてください。
各評価について理解する
実習前から「治療内容を考える」ことや「病態を理解する」のはとても難しいと思いますので、ぜひこういった「臨床技能・思考」などは実習中に学んで欲しいと思っています。
しかし、評価に関しては、実践はできなくても事前に対象疾患などの勉強をすることは可能です。
完璧に覚える必要はありませんが、以下の項目は頭に入れておくと実習がスムーズに進行します。
- どの疾患を対象とする評価なのか
- 評価をすることで何が分かるのか
- 簡単な評価手順の理解
- 注意点や禁忌があるか
- ガイドラインに載っているか
上記は評価計画を立てる際にも役立ちますので、ぜひ覚えておいてください。
特に「評価をすることで何が分かるのか」を理解していないと、
- 不必要な評価をして患者さんに負担をかける
- 評価をしてもなににも繋がらない
- 患者さんに説明ができない
上記のようなことになり、患者さんからの信頼を失ってしまうことになります。
学校だけで学ぶことが難しいことも多くあります。
その場合にはCE(臨床教育者)に相談したり、自宅学習として勉強するのも良いですね。
CE(臨床教育者)が見ている5つのポイント
この項目では、実際に僕らが学生を評価するときに見ている5つのポイントを解説します。
上記のポイントから分かるように、実は学力ではあまり判断していません。
では、どのようなポイントに注意していくか1つずつ解説していきます。
患者さんのことを精一杯考える
「患者さんを第一に考えてください。」多くのCE(臨床教育者)が同じことを言うと思います。
参考書でも以下の様に述べられています。
臨床実習は学生にとっては学ぶ場であるが、対象者にとっては自らが病気や障害を克服しようとしている場面である.(中略)医療従事者の矜持として対象者の立場を重んじるべきである.
濱口豊太(編)「標準作業療法学 専門分野 作業療法 臨床実習とケーススタディー 第3版」/医学書院
実習で関わらせて頂いているのは、患者さんの人生の一部ですので、一生懸命に患者さんのことを考えてください!
完璧である必要はありませんし、僕ら自身も100点の答えが出せているとは思っていません。
真剣に向き合って精一杯患者さんのことを考えていると、その努力は患者さんにもCEにも必ず伝わります!
患者さんもCEもあなたの努力が分かれば強力な助っ人になってくれますよ。
基本的態度を意識する
基本的態度については、「基本的態度を理解する」でも解説しました。
何度も出てくるということは、それだけ実習にとって大切だということです。
復習になりますが、
- 患者さんに失礼ではないか
- 社会人としての行動はとれているか
この2点は常に意識しておきましょう。
多くのCE(臨床教育者)は、学力よりもまず「基本的態度」を評価します。
心配な場合には、学校の先生やCEに相談することをオススメします。
友達同士で確認するのも良いのですが、やはり現役の社会人に聞く方が的確なアドバイスをくれます。
しっかりと対策をして、充実した実習を送ってください。
実習生としての立場を忘れない
実習生の立場はとても大変です。
臨床実習生はあくまで学生であり,病院・施設の職員ではない.一方,対象者(患者)から見れば学生もスタッフの一員であり,職員としてのモラルや対応を求められる.
鶴見隆正(編)「標準理学療法学 専門分野 理学療法 臨床実習とケーススタディー 第3版」/医学書院
僕も実習生だったので、この難しさはよく理解しています。
「積極的に介入しすぎ」ても「引きすぎ」てもいけず、その線引きがとても難しかったことを覚えています。
解決策は、
僕が実際に学生に伝えている注意点は以下になります。
- 一人では行動しない
- 患者さんの話にしっかりと耳と傾ける
- 他スタッフの行動を遮らない
- ミスや事故があった場合は速やかにCEに相談する
- 患者さんに接触する時は患者さんとCEに声をかける
- その場を離れる場合には患者さんとCEに理由を伝える
- 実技を行う場合は患者さんに十分に説明し理解と同意を得る
最低限上記のことが行えれば、大きな減点はないと思います。
気を付けることは多いですが、それだけ守られているということですので、学生としての立場を理解しておきましょう。
時間を厳守する
時間を守るということは、「ルールを守り信頼を得る」ということに繋がります。
時間を守る,施設のルールに従う,提出物の期限を守ることは当然であり,ルールを守ることで相手の信頼を得る機会となる.(中略)学生と対象者あるいは指導者には,十分な信頼はないに等しい.対象者と指導者へ見せる学生の行動1つひとつが信頼を得るための要素である.
濱口豊太(編)「標準作業療法学 専門分野 作業療法 臨床実習とケーススタディー 第3版」/医学書院
私が担当した学生が提出物の期限を守らないことがありとても残念でした。同時に「この学生は信頼できるのか?」という思いも出てきました。
- 出勤時間
- 提出物の期限
- CE(臨床教育者)や患者さんとの約束
一度失ってしまった信頼を取り戻すのはとても大変です。
時間が守れなかった場合には、正直にCEに申し出ましょう。
理由を聞かれ場合には、誰にでも失敗はありますので嘘をつかずありのままを伝えましょう。
上記のリストを意識し、患者さんやCEからの信頼を得ていきましょう。
積極性はあるか
これまでの4つのポイントは減点をしないためのもの(加点になることもあります)でしたが、「積極性」は加点をすることができるポイントでもあります。
積極性を出しすぎて「学生の立場」から逸脱(いつだつ)しないように注意しましょう。
- スタッフや患者さんへの挨拶
- 介入前後の準備・片付け
- 掃除や整理整頓
- CE(臨床教育者)への質問
- 自宅学習
オススメは「CEへの積極的な質問」と「自宅学習」だと思っているよ!
積極的に質問をすることは,学生に学ぼうとする意欲や態度があるとみなされる.
濱口豊太(編)「標準作業療法学 専門分野 作業療法 臨床実習とケーススタディー 第3版」/医学書院
質問をすることで得られるメリットが多くある一方で、注意点もありますので確認していきましょう。
- 新しい知見が得らえる
- 積極性を評価される
- 自分の理解度をCEに伝えることができる
- コミュニケーション能力が向上する
- 自分の頭の中を整理できる
個人的には学生最強の武器は「なんでも質問できること」だと思っています。
ある程度年数が経ってしまうと聞きにくい質問でも学生であれば問題なく聞けます。
たとえ誤ったことを聞いても「学生だからしかたない」で済むことが多いです!
ぜひ奥手にならずに自分から行動してみましょう。
各実習で求められること
ひとことに臨床実習と言っても
の3つがあります。
「見学実習 < 評価実習 < 総合実習」と段階を追って求められるレベルが高くなります。
1つずつどのようなことが求められているのかを解説していきます。
見学実習
実際の医療現場における臨床場面を見学し,医療施設の概要,社会人・医療人としての態度,理学療法士やその他の医療従事者の役割を学習することとなる.
鶴見隆正(編)「標準理学療法学 専門分野 理学療法 臨床実習とケーススタディー 第3版」/医学書院
見学実習は多くの学生にとって初めての臨床実習になり、そのことは僕らCE(臨床教育者)も理解しています。
見学実習では「基本的態度」を念頭に置き、理学療法士や作業療法士の実際の様子を見学して、具体的なイメージを形作ってください。
- 基本的態度を理解する
- 理学療法士・作業療法士の役割を理解する
- 患者さんとコミュニケーションが取れる
- 見学するポイントを理解する
「見学するポイントを理解する」に関してですが、同じような介入でもセラピストの目的によって見るべきポイントが変わります。
事前にどのポイントを見ているか、セラピストに確認しておきましょう。
ある程度ポイントを絞って見学すると、変化にも気づきやすいです。
見学実習は、初めての臨床実習だから知識よりも「人柄」で評価してるよ。
- 明るい
- 積極性がある
- 人の話をよく聞いている
- 真面目
- 努力家
上記のような学生は高評価をもらいやすいよ!
見学実習はこの後の評価実習や総合実習に繋がる実習ですので、今後の実習をイメージしながら取り組んでみてください。
評価実習
評価実習の目的は,臨床実習指導者の指導のもとで対象者の作業療法評価を行い,評価内容を解釈することである.
濱口豊太(編)「標準作業療法学 専門分野 作業療法 臨床実習とケーススタディー 第3版」/医学書院
評価実習は、見学実習を経験している前提で実習が始まるので、見学実習よりも踏み込んだ実習になります。
CE(臨床教育者)が求めるポイントも「見学実習+α」になりますので、以下を確認してください。
- 見学実習で求められたこと
- 評価の理解と臨床技能
- 情報収集力
- 患者さんと接触する際のリスク管理
- レポートなどの書類作成能力
上記を聞くと「自分にできるのか」と不安に感じたかもしれませんが、いずれも「CEの指導のもと」が前提ですので、全て完璧にできる必要はありません。
「どれか一つだけもできるようになる」などの目標をもって実習に取り組みましょう。
評価実習は、「基本的態度」に加えて、初めて患者さんと積極的に関わる実習なので「患者さんに失礼がないか」を評価しています。
- 言葉づかいは適切か
- 距離感は適切か
- 話をしっかりと聞いているか
- 不安を煽るような言動をしていないか
- 自分1人だけでやろうとしていないか
一番の協力者は患者さんなので、感謝を忘れないで実習を送ってください!
評価実習は、実習の集大成である「総合実習」の予行練習のような意味合いもあるので、評価だけでなく患者さんの状態をしっかりと理解し、どのようなアプローチを行うべきかまで考えられると素晴らしいですね!
総合(臨床)実習
総合臨床実習は,患者の障害像の把握,治療目標および治療計画の立案,治療実践ならびに治療効果判定についての実習である.評価実習の内容に加え,指導者が行う評価・治療を見て学ぶことも含めて患者の全体像を把握し,ゴール設定やプログラム立案についても学ぶ.
鶴見隆正(編)「標準理学療法学 専門分野 理学療法 臨床実習とケーススタディー 第3版」/医学書院
総合実習は、これまでの実習や養成校で学んできたことの集大成です。
多くの養成校で総合実習は2回あると思いますので、2回の総合実習で理学療法・作業療法を一部でも実践できるようになりましょう。
総合実習で求めることは、「評価実習+α」または「1回目の総合実習+α」になります。
1回目の総合実習で納得いく行動がとれなくても、2回目で挽回することもできるので、あきらめずに頑張りましょう!
- 評価実習で求められたこと
- 評価内容の統合と解釈からアプローチを立案する
- 理学療法・作業療法を一部実践できる
- 予後予測や目標設定ができる
- 患者さんの状況を他者(他職種)に報告できる
上記項目は僕らCE(臨床教育者)が学生だった時も、とても難しく感じました。
誰にとっても難しいことなので、「できなくて当たり前だから1つでも吸収してやる」という意気込みで実習に挑んでください。
総合実習は、「基本的態度」に加えて「患者さんのことをどれだけ考えることができているか」を評価しているよ。
- 評価実習の内容
- 病態を理解しているか
- 本人の想いを理解しているか
- 今後どのようになると推測されるか
- 理学療法・作業療法をどう展開していくか
臨床実習では、より医学的な知識も必要になるので、基礎的な「解剖学」や「生理学」「運動学」などを復習しておいてね!
総合実習は、理学療法士・作業療法士とほぼ同じような関わりをします。
患者さんを第一に考え、「医学的な知識」「理学療法・作業療法的な視点」「臨床思考・技能」を身に着けられるように積極的に学んでいきましょう。
各病期のCEが学生に求めるポイント
最後に、僕ら講師陣も含めた6人のCE(臨床教育者)が「学生に求めるポイント」を各病期ごとに紹介します。
リアルな意見をぜひ参考にしてください。
結論から言うと、全ての病期で「コミュニケーション」や「改善しようとする姿勢」などの「基本的態度」を重要視しています。
CEのアンケート結果
僕らを含むCE(臨床教育者)6人へGoogle Foamを使用してアンケートを実施しました。
- 実習前に準備して欲しいこと
- 学生の評価ポイント
- 基本的態度の重要ポイント
結果は!!!
「ビジネスマナーなどの基本的態度について」が66.7%で1番、「実習に対する理解」が33.3%で2番となりました。
やはりほとんどのCEが「基本的態度」を重視していますね。
「患者さんを考えているか」が50%で1番、「基本的態度」が33%で2番、「適応力があるか」が17%で3番となりました。
患者さんあっての実習ですので、患者さんをしっかりと想った実習を送ると良い評価が得られますよ!
「患者・患者家族に対する礼節のある言葉遣い、態度」「状況に応じた適切な挨拶・自己紹介」の2項目が33%で1番、「自身の目標達成するための具体的な取り組み」「職員に対する礼節のある言葉遣い、態度」の2項目が17%で2番となりました。
基本的態度の中でも、「言葉遣い」「挨拶」が特に重要視されていますので意識していきましょう。
特に言葉遣いは、ビジネス書などを参考にして実習前から練習すると、いざという時にポロっと普段の言葉遣いが出にくくなりますよ。
急性期のCEが求めるポイント
僕は一番「患者さんをどれだけ考えることが出来るか」を重視しているかな。
「基礎知識」や「基本的態度」は知っているに越したことはありませんが、実習中に身に付けてもらえれば大丈夫です!
一番評価するポイントは、「患者さんのことを考えて行動できているか」です。
患者さんを良くすることを考えれば、必然的に「基礎知識」や「基本的態度」の足らないところが見つかるので、一緒に改善していきましょう。
僕は「適応力」を見ています。
知識がないのは当たり前なので、学力はあんまり見ていません。
僕が見ているのは、今ある知識の中で少しでも工夫して不足点を補おうとする姿勢です。
回復期のCEが求めるポイント
僕は「適切なコミュニケーションができるか」を見ています。
患者さんとの関係もスタッフとの関係もコミュニケーションから始まります。
「言葉づかい」や「態度」、「報告・連絡・相談」などの社会人として必要なスキルを身に着けて欲しいですね。
「実習先に多い疾患の基礎的な知識」「評価内容」「実践スキル」が身に付いてくれると嬉しいです。
僕は「基本的態度」を重視してます。
病気の知識や評価の技術などはあんまり重視していません。
「患者さんへの気配り」や「スタッフへの挨拶」などの「基本的態度」が大切だと思っています。
患者さんへの情熱や実習への意欲も評価していますね。
生活期のCEが求めるポイント
私は「挨拶や言葉づかいができているか」を重視しています。
特に理学療法士はスポーツ経験者が多く、上下関係を重視する人が多い印象です。
基本の挨拶や言葉づかいができていないと、せっかく学習意欲があっても評価を落とす可能性があるので注意です!
私は「今回の実習を通して成長できているか」を参考にしてます。
当施設では学生と初めに面談をして実習の目標を立てるので、その面談からどれだけ変わることができたかを大切にしています。
生活期なので、病気の知識というよりも「対象者の人となりを知ることができるか」などを見ています。
まとめ:実習生は基本的態度を理解して患者さんと真剣に向き合う
実習では、学力や技術ではなく、社会人としてのマナーなどの「基本的態度」を重視しています。
\結論/
基本的態度を意識して、患者さんのことを真剣に考える(学力は問わない)ことができれば、実習は上手くいきます!
参考書を見ても、実際のCEに話を聞いても、特に重要しているのは「基本的態度」が多いです。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
ここまで読んだあなたはきっと実習が上手くいきます。
ぜひ充実した実習を送ってください。
もし実習中に疑問などがあった場合には、サギョウ先生かリガク先生にDM頂ければ、相談にのりますのでお気軽に連絡ください。
リ学舎の公式Twitterでは、学生や若手セラピストが抱えている不安を解決するようなツイートをしていますので、良かったらフォローしてくださいね!
\サギョウ先生のアカウント/
\リガク先生のアカウント/
フォローしてね!
参考・引用書籍
- 青木紀久代・神宮英夫(編):カラー版 徹底図解 心理学/新星出版社
- 一般社団法人 日本作業療法士協会:作業療法臨床実習指針(2018) 作業療法臨床実習の手引き(2018・2022)
- 小林幸治:PT・OT学生のためのクリニカル・クラークシップ臨床実習ガイド/シービーアール
- 鶴見隆正(編):標準理学療法学【専門分野】理学療法 臨床実習とケーススタディー 第3版/医学書院
- 濱口豊太(編):標準作業療法学【専門分野】作業療法 臨床実習とケーススタディー 第3版/医学書院
- 無藤隆・森敏昭・他:心理学 新版/有斐閣
コメント